ロースクールたより11月号
こんにちは。11月になりました。
予備試験論文式試験も終わり、今は後期の講義を受けつつ伊藤塾から届いた論文過去問マスター(と答練)を潰す日々を送っています。
答案構成をして潰した気になっていた過去問ですが、いざ8枚答案を書いてみると思いのほか手が動かず苦戦しています。まだ6ヶ月あるのでこれから慣れていきたいですね。
民法(親族相続)の期末試験が今月の27日にあり、ホントは駄文をダラダラ書いている暇は無いのですが、月一更新は死守していきたいと思うので今月もシコシコ更新していきたいと思います。
今回のテーマは弊ロー内にある図書館室(ローライブラリー)についてです。
1.ローライブラリーとは何ぞや?
正式名称は『高等司法研究科ローライブラリー4』といいます。
4というからには1、2、3があるのではないか?という疑問があるかと思われます。ローライブラリー1・2は法学研究科(研究者養成の大学院)が管轄する図書室、ローライブラリー4はロースクールが管轄する図書室となっています。
ローライブラリー3はありません。
で、ローライブラリー4(以下、ローライと略す)ですが、何とロー生専用(厳密にはローの教員・修了生も含む)の図書室となっています。
ロー生はローライブラリー1・2が使えるので、総合図書館・ローライブラリー1・2そしてローライを組み合わせれば文献のリサーチには殆ど困らないと言っていいでしょう(さらに、他の研究科の図書室も利用できますが今回は割愛)。
四面に本棚と書架があり、そこに書籍や雑誌が並べられている感じです。所蔵されているのは、
・基本7法+選択科目+社会保障法等講義に関連する分野の基本書・コンメンタール・判例集・問題集等
・修了生から寄贈された予備校本(辰巳のぶんせき本とか、勿論貸出可能)等々です。
学生が希望しており、かつ頻繁に貸出が予想される書籍については出版後直ちに追加されるのがいいですね。
大島先生の『行政法ガールⅡ』は先月の30日に出版されましたが、週明けの2日には追加されていました。
また館内にはコピー機・判例解説検索用のパソコンも設置されています。判例報告の時によくお世話になります。
~1分でわかるローライの歴史~
唐突ですが、ここでローライの歴史を紐解いていきたいと思います。
2005年6月頃
ローライブラリー運営開始(場所は旧自然科学棟、現在の教育研究棟Ⅰの1F)
平日のみ開館、職員のみでアルバイトはなし
阪大ローは2004年にできた*1ので、その1年後にローライができたことになります。
昔は現在のロースクールがある豊中総合病院学館が無く、教育研究棟に院生の自習室等が設置されていたことになります。知らなかったぜ。
2006年4月~
土日祝日の学生アルバイトの運用開始
現在でも学生が一部の時間帯でアルバイトに入り、貸出業務や書庫の点検を行っています。私も昨年の後期に入りましたが、お小遣いを稼ぎつつ業務中に授業の予習等をすることができたので良かったです。
2007年4月~
平日の学生アルバイト運用開始
2008年4月~
法系研究棟に移転
2014年8月~
豊中総合学館の7Fに移転
6年前に豊中総合学館にローライが移転しました。7Fに1・2年生の自習室がありますが、ローライの目と鼻の先にあります。
2020年4月~
covid-19の流行により一時閉館、のち時間を短縮して開館
今も新型コロナウイルス感染症の流行真っただ中ですが、ローライは前期の途中から開館しています。自前で基本書や判例集を沢山持っているわけではないので、こうした中でも図書館を利用できるのは大変有難いです。ありがとうございますやでほんま
2.貸出ランキング
法学教室では3ヶ月に1回、全国の書店での法律書販売ランキングが発表されます。
これに便乗して、ここで過去一年間の貸出ランキングを発表していきたいと思います。
集計データは司書さんから頂きました。
10位 司法試験予備試験論文式試験科目別A答案再現&ぶんせき本
※年度は不明 (辰巳法律研究所) 19回
条文あてはめ刑法(立花書房) 21回
5位 基本講義債権各論1 第3版(新世社) 23回
ここまでが5位までです。コロナでローライ利用者が昨年度よりも減少しているとはいえ、かなり意外な結果となりました。
因みにみんな大好き芦部憲法は11位(18回)でした。
いよいよトップ3の発表です。
第3位(同率)
基本刑法 各論 第2版(日本評論社) 27回
高橋民訴が堂々のランクイン。私は使ったことがありませんが、やはり人気なのでしょうか。基本刑法も学生には人気の基本書です。
第2位
リークエ民訴はローでのシェアが高い気がします。私が使用している瀬木比呂志『民事訴訟法』を使用している人は見かけません。せぎみんはいいぞ
第1位
栄光の一位には田中会社法が選ばれました。おめでとうございます。江頭ユーザー涙目
なお、田中会社法は直近1ヶ月での貸出ランキングでも1位でした(4回)。
3.司書さんへのインタビュー
最後に、というかこれがメインですが、今回記事を書くにあたりローライの司書さんにインタビューをしてきました。おそらく本邦初公開です。
ロー生に対する不満も含めて赤裸々に語って頂きました。
それではどうぞ。
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私:本日はどうぞよろしくお願い致します。初めにですが、ローライを知らない方のために、どのような施設なのかを簡単でいいので教えて下さい。
司書さん(以下、司):司法試験を受験するのに役立って、かつ学生が揃えることの難しい本を借りることができる施設です・・・こんな感じで宜しいでしょうか?(笑)
(ローライの司書になろうとしたきっかけ)
私:どうしてローライの司書になろうと思ったのですか?
司:元々大学の総合図書館の司書になろうと応募しました。で、面接の時に「一人で大丈夫ですか?」と職員の人に尋ねられ、何か違うな?と。面接を受けるまでこの図書室(ローライ)のことを全く知りませんでした。
私:ローライの司書になったのは何年前ですか?
司:3、4年前です。1年更新で最大5年の契約ですので、今年で4年目ですね。
私:先程司書として配属されるまでローライについて全く説明されなかったとおっしゃいましたが、何か事前に説明を受けましたか。
司:口頭でばーっと説明はされましたが、全くヘルプが無い中での勤務開始となりました。司書は私一人だけでしたし、当時は前任の司書の方も知りませんでしたし・・・
私:勤務にあたり、何か心掛けていたことはありますか?
司:特にありませんが、とにかく沢山本を入れようとは考えていました。
(仕事内容について)
私:本を入れる基準は何かありますか?
司:新版、コンメンタール等高価で学生が買えないもの、学生のリクエストが多いものを中心に購入しています。専門書は後回しです。
以前は、まず研究科長の下村先生*2に「これを購入します」とお願いを出して、そこで実務書や問題集は弾かれていた感じです。
下村先生にはよくローライにも顔を出して頂いたのですが、今の研究科長には一度も顔を出して頂いておりませんね・・・
私:本はどこで購入していますか?
司:生協です。注文したらすぐに取り寄せてくれます。
私:学生はどのような本をよく借りていますか?
司:基本書や新刊の本、問題集が多いです。特に著名な先生の本はよく貸し出されます。
私:ローライには寄贈コーナーがあり、修了生が使用した予備校本等を所蔵しています。あの管理はどうなっていますか?
司:司法試験が終わると、修了生が教材を持ってきます。流石に古い版のものは弾きますが、問題集は基本的に入れます。(私の苗字)君も是非持ってきてください。
私:(笑) 分かりました。
(やりがいを感じるとき)
私:お仕事をしていて、何かやりがいを感じることはありますか?
司:大変な仕事ではないので、やりがいと聞かれると難しいですね。ただ、学生と交流するのは楽しいです。合格発表後、学生が私に合格の報告をするのを聞くと、嬉しい反面寂しい気持ちもありますね・・・
(コロナ関連)
私:今コロナウイルス感染症が流行していますが、何か変わったことはありますか?
司:学生がストレスを感じているようには見えます。学食は利用できませんし、飲み会もできませんし・・・ロー生の居場所は談話室*3だけですもんね。
私:ローライについてはどうですか?
司:あっ、ローライについてですか。今はアルバイトを雇えませんので、私が一人で運営しています。休憩は1時間貰えますが。
私:アルバイトを雇用できないのは理由がありますか?
司:換気など学生に感染拡大防止のための図書室の管理を任せるのは難しいというのが大学の方針です。
(ローの学生に言いたい!)
私:ロースクールの学生に一言お願いします!何でも構いません。
司:そうですね・・・学生は皆人が好き、人と関わるのが好きなんでしょうね。人が好きだから弁護士になりたいと思っているのでしょう。頑張ってほしいです。
私:ほかに何かありますか?
司:同じ環境や価値観を持っている人に囲まれて、司法試験というゴールに向かって競争する中で価値観が偏ってしまうことを心配しています。司法試験だけがゴールではありません。学生一人一人がかけがえのない存在であることを認識しておいてほしいです。
私:ローライの利用面で何か不満な点はありますか?
司:本を借りる時は貸出手続を行う、貸出期限は守るといった当たり前のことを守ってほしいですね。
私:司書さんの口からそのような言葉が出るとは思いませんでした。何か具体的なエピソードはありますか?
司:ある日自習室に行くと、空きの机にローライの本が10冊ほど積んでありました。確認すると貸出手続がなされておらず、全て無断で持ち出されたものであることが分かりました。
私:(絶句) ほかにも何かありますか・・・?
司:まだありますけど、これ以上は止めておきます。
(受験生に一言)
私:先日弊ローの入試が行われ、12月に合格発表があります。阪大を受験する学生は他のロースクールも受験していることが考えられ、どのローに行くか決めかねている人も少なくないと思います。
そこで最後に、司書さんとして受験生に一言お願いします。
司:ここのロースクールですが、交通の便も悪くないので大阪在住の人は通いやすいと思います。7Fからの夜景も良好です。
他の大学にも同じようなロースクールの図書室があると思われますが、一番ゆるい司書がいるのが阪大です(笑) 「この本が欲しい!」と必要性をアピールしてくれたらすぐに取り寄せます。
世間話を したくなったら気軽に声を掛けて頂いて良いので、本と同じようにいつでも私を利用してください。(私は学生さんたちのために存在しているので!)
私:今日はどうもありがとうございました。
司:こちらこそ、ありがとうございました。(終)
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ここまで読めば貴方はもう一流の阪大ローのローライマスターです。
お友達に自慢しましょう。
今月号は以上になります。