凡人のための二回試験突破講座【総論】
無事司法修習が終了(修了ではない)したので、後輩の為に二回試験についてここに書き記しておきます。
1 にかいしけんとは
正式名称は「司法修習生考試」(「考試」が一発で変換されない、起訴)
一応国家試験で、合格すると「司法修習生の修習を終えた者」として、判事補になったり検事になったり弁護士になったりすることができる(裁判所法43条、検察庁法18条1項1号、弁護士法4条)。
試験科目は集合修習の起案と同じで、民事(刑事)裁判、検察、民事(刑事)弁護の5科目。1日に1科目ずつ受験し、中日を含めると1週間以上拘束される。
この内1科目でも「不可」(落第)の評価を取ると不合格となる。
どんなに集合修習中に最高評価の成績を取っても、
どんなに大手の事務所の内定を取っても、
どんなに「YOU、(裁判官か検察官)やっちゃいなよ」と実務修習中に教官からプッシュされても、
二回試験に落ちたら(ほぼ)全部水の泡になってしまう。
そういった意味で修習生の生殺与奪の権を握っている試験であるが、合格率は殆ど100%に近い。
75期の場合、修習生1329人中不合格者は6人のみだったので、合格率は99.55%だった。「99%除菌!!」と同じレベルである。
故に、落ちたら正直司法試験よりもダメージがでかすぎる試験であるが、以下紹介するお作法や各論の記事をよく読んでもらえれば突破はそこまで難しくないと思われる。
合格発表は、合格者の受験番号ではなく不合格者の受験番号を張り出すことで有名。
「番号なかった~」=合格である。紛らわしいね。
2 試験の流れ
司法試験と比べて、二回試験については当日の試験会場の様子が殆どレポされていないので、大体のイメージを掴んでもらえると幸いである。
なお試験会場は、
近畿地方の修習地の人→梅田にある研修センター
それ以外の人→司法研修所
であるが、私は研修所で受験したので以下の内容は全て研修所での内容である。
研修センターでの試験風景については他の先輩に聞いて、どうぞ。
9:45まで 入室して準備
受験票が配られなかったので、事前にウェブで公開された修習生毎の試験教室へ行き、自分の席を探して着席する。分からない場合は室内の試験官に訊けば教えてくれるので安心。
席上のシールに記載されている名前が自分の名前であるか確認。
シールには「受験番号」と「着席番号」の2種類があるが、両方使う(表紙に記入する)ので注意。
この時点では白表紙を机の上に出して読んでてよい。また、室内でスマホ等の電子機器を使っても特にお咎めは無かった。
筆記用具と水分補給のためのペットボトル(エナジードリンク等の缶飲料は×)以外に、グミやガム等の軽食は昼食とは別に卓上に置いてよい(伝聞だが、カロリーメイトもよかったそう)。私はリラックス用にタフグミを机の上に置いていた(起案中、一息つきたい時に嚙む)。
9:45 着席時刻
ここから試験上の注意のアナウンスが流れ始め、教材やスマホ等をしまうよう指示される。
トイレに行くことは原則できない。
また、席上の貸与六法(デイリー六法)のケースを外し、机の中等にしまうよう指示される。
10:00 問題以外の道具の配布
ここで、
・起案用紙(30枚くらいに束になっている)
・下書用紙(3枚)
・答案の表紙
・付箋(青と黄色、横に細長い)
・事件記録(1冊又は2冊)
が配布され、事件記録については落丁等が無いか確認のため、数分間記録の中をパラパラめくることが許される。
ここで事件記録の表紙(「○○事件」とかが書いてある奴)や訴状、証拠一覧表をチラ見して事案の内容を予想しておくと精神衛生上いいかもしれない。
その他、答案の表紙の記入欄をペンで書く。
10:15 問題の配布
裏面で配布されるが、裏から字を読みとって指定枚数や指示内容を予想しておくと(ry
10:20 試験開始
トイレについては監視の為に試験官が付いてくることがないので、挙手して自由に行ってよい。
また、教室の前の机に下書用紙や付箋が置いてあるので、足りなくなったら自由に持っていってよい。
12:00~13:00 食事タイム
1時間、昼食を卓上に出して食べることができる(勿論この時間も起案可能)。
左手にパンやおにぎりを持って、右手でペンを走らせる修習生が続出する。
13:30~16:30 途中退出可能時間
だいたい1時半ぐらいから、途中退出可能のアナウンスが流れる。
途中退出は、
①挙手をして試験官から結び紐を貰う
②表紙と起案用紙を紐で綴じ、再度挙手をして試験官に提出
③提出後、起案に使用した全ての道具を提出(付箋は下書用紙に貼る)
④六法をケースにしまい、荷物を持って退出
の手順で行う。
16:45 試験終了
終了後、全ての筆記道具を鞄にしまい、その後残っている修習生全員に結び紐が配布される。
配布された後、5分間で綴じるよう指示される(5分は厳格に計測されるらしい)。
その後、起案とその他の道具を提出して解散になる。
3 お約束
①起案要領は何度も読む
日々の起案と同じように、起案要領で指示されたことだけを淡々と書けばいいので、試験開始後、起案に書く前、提出前それぞれよく読むこと。
②できるだけ量を書く
ここ最近で二回試験落ちた人の傾向として、本来は最低でも10数枚以上書くべきところを、2、3枚しか書いていないというものがある。
事実を沢山拾って評価すれば点が入るのは司法試験と同じなので、起案では事実を証拠から沢山拾って認定して、簡単に評価していく姿勢を持つこと(但し刑裁では、評価の過程をかなり厚めに書かないとダメ)。このような姿勢で答案を書いていけば自然と20、30枚とページを稼げるはずである。
③最低でも集合修習の復習はやる
一番ベストは、もう一方の班の修習生から集合修習の起案の問題や優秀答案を貰ったり共有したりするのがよい(集合修習中の起案で出た論点がだいたい二回試験でも出る)が、ぼっちで難しい場合は、起案の講評で教官が「これはやったらダメなミス」と指摘していた部分を中心に、直前期に確認するのがよい。
その他各科目のお約束については、科目毎の対策記事を参照のこと。
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