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志望理由書

こんにちは。お陰様で当ブログのアクセス数が1000を超えました(2月1日)。

これからも細々と更新していく予定なので、宜しくお願い致します。

 

 

 

今日はロー受験生の悩みの種である、志望理由書についてです。

 

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1 概要

 

私立はどうか知りませんが、国立のロースクールにおいては出願時に志望理由書の添付を求められます。

 

この理由書も一応合否を判断する資料とされており、阪大の場合は450点の内30点が理由書に振られています。神大は細かい配点を公表していません。(書類:筆記=1:6の割合とだけ)

※配点・割合何れも一般既習のもの

 

筆記試験に比べて配点のウェイトがかなり小さいため軽視されがちですが、採点する先生方の心象を悪くしないためにも、しっかり仕上げて提出すべきでしょう。

 

 

 

志望理由書の内容ですが、他の大学の要項を見た感じで以下の4パターンに分けました。

 

① (ロースクールの)志望理由のみを必須とするパタ―ン

Ex. 東京大学広島大学

 

② 志望理由だけではなく、法曹を志望する理由も書かせるパターン

Ex. 九州大学岡山大学

 

➂ 志望理由を、自分のこれまでの経験と関連させて書かせるパターン

Ex. 一橋大学京都大学

 

④ 法曹が有すべき能力を挙げ、それに対する自己評価を書かせるパターン

Ex. 神戸大学大阪大学

 

理由書の難易度としては、①が一番難しくて④が簡単だと思います(あくまで体感、④が楽に書けるとは言ってない)。

④が比較的簡単な理由は、

 

ロースクール自体への志望理由を書かなくてもいい

 

・自己評価は、事実を持ち出せば埋まる(字を稼げる)

 

です。

 

前者ですが、大学毎のロースクールの特色は、学部のそれと比べてかなり薄いと思われます。どの大学のパンフレットにも、似たような言葉(優れた教授陣・レベルの高い講義・少人数教育・充実した学習環境等々・・)がずらっと並んでいることから明らかです。

パンフレットやネット上の情報をかき集めて書いたところで、(他の受験生もおそらく書くので)点数の差がつきにくいです(配点が低いのでそこまで問題にはならないですが)。

一方で、ド直球に「司法試験(・予備試験)の合格率が高い」と書くことは受験生にとって気が引けます。採点する方も、そう書かれてしまっては元も子もないでしょう。

 

このように、大学に対する志望理由を書くことは、結構難しいのです。

 

その一方、④のパターンでは、法曹の能力と自己評価だけを(建前上)書けば足ります。

 

 

後者ですが、僕は最初自己評価と聞いて「(何を書けばいいか)ぜんぜんわからん!」という某フレンズになっていました。ですが、

 

・大学の法律科目の8割以上でA評価以上をもらった

・予備試験の短答式試験に合格した

・法律無料相談に同席して話を聞いた

 

等々、大学時代に経験したことを上手く組み合わせばいいと結論に至り、それで何とかなりました。

流れとしては、

 

(法曹にはこの能力が必要)→(大学時代にこういう経験をした)→(この経験は先に挙げた能力を身につける上で役立った)

 

となります。

 

 

2 作成までの経緯

受験するのは神大と阪大だけだったので、その2校の理由書を書くことを予備論文後に決めました。また、前述した通り両校ともに書く内容は同じであり、また神大の方が字数が厳しかったので、阪大用のものを先に作り、後で神大用に圧縮することにしました。

 

また、夏休み中、ゼミの指導教員に2回添削をお願いしました(ロースクールの教員ではない)。添削は重要です。自分では気が付かなかった所を指摘して下さるのは有難いです。

 

 

志望理由書の前半の部分である法曹に必要な能力ですが、3つ挙げることにしました。ざっくりいうと、法律知識・対応力・処理能力です。能力を挙げた後、すぐにその能力が必要な理由を書きました。

能力の所では、民法・刑訴法の改正や事実の種類を持ち出して「オレ法律知ってるぜ」感を滲ませるなど工夫もしました。それが良い方向に働いたかは分かりませんが。

 

メインである自己評価の部分は、(事実の持ち出し)→(能力に対する一定の到達)という形に全て統一しました。

事実のもとになるエピソードはこれでもかと詰め込んだ気がします。

引用した試験ですが、受験要項に予備試験の結果を引用してはならないと書いていなかったので、予備試験の結果も引用しました。なお、神大では書いてあったので省いています。

 

最後は、「現段階では法曹として活躍するための能力が十分に取得できたとは言えない」とした上で、「阪大でその能力を養いたい」と〆ています。

全体の割合は、能力:自己評価:まとめ=4:5:1です。

 

 

3 実際に書いたもの(阪大)

 

 私は、優秀な法曹に必要な適性及び能力として、以下の3点を挙げる。1つ目は、所謂「六法」を始めとする諸法規の理論と実践、及びその連携である。実務家として法的紛争を解決する場合、これらの能力に乏しければ構築した法理論も机上の空論となる。法曹は、法解釈上の主要な争点については関連する判例と通説を理解することが最低限求められるが、それだけではなく近年の有力説や少数説も知る必要がある。判例や通説に従ったままでは不当な結論に至る場合又は既存の理論が想定していなかった事案に遭遇した場合に、別の解釈を示して対応することが法曹に求められるからである。2つ目は、柔軟な対応力である。昨年債権法の大幅な改正を含む改正民法が国会で成立し、2020年に施行されることが決まった。また一昨年には刑事訴訟法が一部改正され、被告人と検察官の間の協議・合議制度は今年の6月から施行されている。法曹は、法令及び通達の新設や改廃、制度変更を十二分に理解して適切な運用に努める必要がある。加えて、難解な法律用語や制度を日常用語に言い換える等非法律家に対して適切な意思疎通を図ることも求められる。法的紛争に関わる人々は、法律を知らない者から企業や公的機関の法務担当者まで様々であり、その者の知識レベルに応じた対応が法曹に求められるからである。3つ目は、情報処理能力である。法的紛争が生じた時、当事者は感情に身を委ねて自己の利益や都合を主張したり、相手を非難したりすることがある。法曹は、当事者の感情を理解しつつ、感情が入り混じった主張を法的に整理し、事実を要件事実や情状事実等の法的に重要な事実とそうでない雑多な事実とに峻別する必要がある。その上で、弁護士や検察官は前者の事実のみを法律論に構成し、裁判官はその理論の認否を検討する。当事者間の不毛な感情の押付けに終始し、紛争の法的解決が不可能になることを防ぐためである。
 以下、前述した3つの適性及び能力に対する自身の到達度を述べる。まず1つ目の諸法規の理論と実践、及びその連携であるが、司法試験の法律基本7科目の、学部での授業科目については、ほぼ全ての単位を取得し、8割以上でA以上の評価を得ている。また、 これらの勉学の結果、学部3年次に行政書士試験に、4年次に司法試験予備試験短答式試験に合格している。さらに、国際法、経済法、租税法等7科目以外の法律についても自主的に勉強している。これらの事実から、法律理論の具備については一定の到達が認められる。また理論の実践については、2年次から4年次にかけて民法民事訴訟法及び租税法のゼミを受講し、具体的事案を検討及び議論を行っている。加えて、弁護士会が主催する無料法律相談会に出席させて頂き、弁護士が法令の解釈適用により参加者の相談に対して回答を行う様子を傍聴している。これらの事実から、理論の実践についても一定の到達が認められる。
 2つ目の柔軟な対応力であるが、前述した民法刑事訴訟法については改正後の内容で勉強を行ったり、法改正が報じられた時は改正の趣旨や旧法との異同等を確認したりして法令への対応力の強化に努めている。一方非法律家への対応力について、私はゼミにおける報告や発言を行う時及び後輩に学習指導を行う時に、図画を使用したり、適切な具体例を用いたりして相手の知識の有無や程度に応じて丁寧に説明を行っている。また、友人からの進路相談や両親からの家族関係の相談に対しては、相手の状況や立場を考慮しつつ適切な回答を行うように心がけている。このように、非法律家へ対応するために必要な意思疎通能力は持ち合わせている。よって、かかる対応力についても一定の到達が認められる。
 3つ目の情報処理能力であるが、私は大学1年から約3年間、法律系サークルに所属し、他大学とのディベートや構内での模擬裁判を行った。特に模擬裁判については、観客の学生に裁判の結論を決めてもらう形式をとり、そのためにいかに分かりやすい立案を行うか、そのために必要な証拠は何かを考えながら裁判に必要な書類を準備したり、台本を考えたりした。この活動を通して、法的主張を論理立てて、矛盾なく行う能力を取得することができたといえる。したがって、3つ目の能力についても一定の到達が認められるといえる。
 以上の事実より、私は法律家としての適性を有しているといえる。 しかし、大学4年間の勉強及び経験のみで優秀な法曹に必要な適正及び能力を取得できたとは到底いえない。 そのため私は貴学に入学し、24時間利用可能の自習室やコンタクトティーチャーによる学習支援等、恵まれた学習環境の中で知識を深め、先に挙げた3つの能力を養いたい。そして法曹になり、司法制度に大いに貢献したい。


以上(1936字)

 

 

志望理由書については以上です。