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ロースクールたより8月号

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法科大学院、下から見るか? 横から見るか?

こんにちは。

ようやく期末試験と予備試験が終わり、ローの自習室に静寂が訪れるようになりました。実質的に今日から夏休みです。

 

 

ホントは今日から司法試験の過去問をガリガリ解いていく予定でしたが、まだ短答の自己採点をしていないため気持ちが落ち着かず、自習室で図書館から借りた『あさきゆめみし』を読んで現実逃避していました。

 

あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし(1) (講談社漫画文庫)

  • 作者:大和 和紀
  • 発売日: 2001/07/31
  • メディア: 文庫
 

 

この調子で今月号を更新して現実逃避に勤しんでいきたいと思います。

まったく、現実逃避は最高だぜ!!

今月のテーマは、前期の授業の振り返りと感想(あと期末試験の補足)です。

 

ーーー

 ・前期の授業の振り返り

今期の授業は全部オンライン形式で行われました(模擬裁判だけは模擬法廷に集合して行う)。

ほとんどは事前にレジュメ配布(+課題を事前/事後に提出)の上講義動画配信という感じで全15回行った感じですね。

covid-19影響下でのロー生活(の愚痴)は4月号で書いた通りなので繰り返しませんが、一番しんどかったのは授業開始から自習室閉鎖一部解除の6月中旬までです。

勉強時間や生活リズム等、自習室が解放されてかなりマシになったと思います。

 

 

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僕と自習室

オンライン授業ということで勝手が違うところも多々ありましたが、自習室やローの図書室等設備はそれなりに提供されていたので個人的にそこまで不満はありませんでした(授業料も無事免除されましたし)

 

〇公法総合演習

以下、科目毎に振り返っていきたいと思います。公法総合演習は、憲法行政法の演習科目です。15回の授業の内、憲法の回が7回、行政法の回が8回でした。

教員も憲法行政法で分かれており、融合問題を取り扱う、といったことはありませんでした。

 

取り扱う問題は、今の司法試験の事例問題のようにいわゆる「典型問題」ではなく、日常生活の事象に即した実践的なものが多かったと思います(憲法ならヘイトスピーチ条例案行政法なら迷惑施設の設置許可等)。

また憲法では、近年の司法試験の問題形式である意見問題(三者間じゃないやつ)も数問取り扱いました。そうした点からいえば、かなり受験指導的といえます(なお添削はしなかったもよう)

 

試験は、2時間で憲法の問題を1題、行政法の問題を1題解答するものでした。そろそろ憲法政教分離が出ると踏んでいましたが、結局ヘイトスピーチが出て爆死しました。

 

民事訴訟法応用3

応用1・2の教員は何れも研究者でしたが、応用3は弁護士が担当されました(しかも今年から)。

 

内容は民訴法の演習ですが、昨年度に取り扱ったテーマ(弁論主義、既判力、複雑訴訟等)をさらに掘り下げ、実際の紛争ではどのようにテーマが活きてくるのかを重視していたと思います(結構ブロックダイヤグラムに拘っている教員でした)。

 

良かった点は、ネット上で授業や生活面についての質問箱が設置され教員が来た質問に答える仕組みができたことです。オフィスアワーで研究室に伺えないという事情もありますが、このように気軽に質問できるよう整備して下さったのは有難かったです。

 

民法応用3

一言で言えば「課題の量や難易度がエゲつない」です。

民法の演習科目ということで、総則・物権・債権・親族相続全範囲の論点をこれでもかと詰め込んだ問題を毎回取り扱いました(基本的に2回で1問取り扱う)。量だけでいえば司法試験と変わらないと思います。

 

1回目と2回目の授業の間に課題レポートの提出が課されますが、レポートの採点も激辛で、規範の理由付けをテキトーに書いたりあてはめる事実の指摘が弱いと容赦なく減点されます。初回のレポートで満点の6割に達しなかった時はかなり凹みました。

しかもレポートの添削が成績の5割を占める(残りが試験)ので、毎回死ぬ気でレポートを書いてました。

 

個人的に「ロースクール」は、既存の知識を応用できるよう只管叩き直す場と考えています。415条1項但書と履行補助者の関係や、種類物売買における目的物の特定等今まで曖昧なままにしていた箇所を改めて確認する機会を与えてくれた点が、この科目を履修した唯一の収穫だったと思います(だから成績はB以上でオナシャス)

 

なお試験は爆死しました。

 

〇比較法史

阪大ローでは基礎法学の科目の内4単位を取得することが修了要件とされています。前年度に2単位取得しているため、前期にもう2単位取得することにしました。

科目名は「比較法史」となっていますが、内容は近代~戦前までの日本法・司法制度を同時期の外国法や戦後の法・制度を比較し分析するものでした。

 

この科目では、ビデオ会議の形で教員が事前に配布したレジュメの解説を行い、たまにソクラテスメソッドを行うという形式が採られました。ただ会議の出席は強制ではなく、事後に提出するミニレポートで平常点の評価がされました(実際に出席していたのは履修者の4分の1くらい)。

 

基礎法学で普段触れないからかもしれませんが、法律や法制度を対比させ、現代にどう活かすかを考えるのは面白かったです。

 

〇法医学

何かしら実務科目を履修しておかないと後期がしんどいと思い、履修しました。

『アンナチュラル』でちょっとだけ法医学に興味を持ったという身も蓋もない理由で履修し、内容も理系の阪大らしく法医学教室の最先端をレクチャーすると期待してました。

が、実際には判例・裁判例に隠れている法医学上の問題点を考え、それをZOOMを通じて発表するというものでした。ちょっと拍子抜け感

 

勿論発表前に教員による関連知識の説明がなされましたが、裁判例の分析とグループワークが殆どでした。発表用のレジュメを作成し、場合によっては授業時間外にZOOMでミーティングを2時間やるなど結構骨が折れました。

判例を批判的に検討(しかも医学的観点から)するのは楽しかったです。

 

期末試験はレポートでした。内容の大部分を、今までに作成したレポートからパク引用したのでそこまで苦ではありませんでしたが。

 

〇企業課税法

内容は10回までが法人税法で、残りの5回は租税法律主義や申告納税制度等税法の総論部分でした。教科書も昨年度の授業と同じです。

 

税法基本講義 第6版

税法基本講義 第6版

 

 

 授業内容や試験の内容も昨年度と変わらないので特筆する点はありません。

この企業課税法を以て租税法の試験範囲(所得税法法人税法)を一通り学習したことになりますが、正直言って事例問題を解くレベルに達したとは到底言えません。夏休みに過去問をガリガリ解いていきたいと思います。

 

〇刑事法律文書作成1・2

4単位相当の科目で、内容は刑事実務+刑事訴訟法たまに刑法といった感じです(なお試験内容はがっつり刑訴)。

 

刑事訴訟法分野では、接見交通権や公判前整理手続等刑事訴訟法としてはマイナー箇所だが実務では無茶苦茶重要なところを、司法研修所の教材を用いて取扱いました。また、起訴状を起案したりもしました。

 

どちらかというと民事よりも刑事に興味があるので、目的意識を持って履修できたと思います。

 

〇模擬裁判

阪大ローでは民事模擬裁判と刑事模擬裁判のどちらかが必修となります。民事の方が人気で毎年履修者の抽選が行われるそうです。

今年度は前期に刑事、後期に民事の模擬裁判が開講されます。僕は刑事を選択しました。

授業内容ですが、来月号に回させて頂きます。

 

 

・期末試験の補足

一週間くらい前に、雑感という形で燃えるゴミ記事を投稿しました。

ただ、実際にどのような形で試験が実施されたのかについては書きませんでしたので、ここで少し補足します。

 

➀教場試験

試験場の教室に入る前に、手をアルコールで消毒し、検温をしてもらいます。おでこに機械をピッと当てて計測するやつです。

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これ

37.5度未満ならセーフですが、超えると即退場、追試験を強制されるそうです

ヤバイですね☆

 

席は自由ですが、ジグザグになるように座らされます(真横と後ろには人がいない)。

距離をとるための対策ですが、空いてるスペースの分だけ物(解答用紙等)が置けたので個人的にはラッキーと思いました、普段スペースを結構使うので。

また、教室内ではマスク着用が強制されました(試験時間中も)。2時間マスク着用は息が苦しくなります。

 

それ以外は特に変わった点はありません。

 

➁オンライン試験

解答開始と同時に問題がネット上にアップされ(厳密には問題ファイル開封のためのパスワードがアップされる)、指定された解答用紙(ワードファイル)に解答を打ち込んでいくものです。

タイピングが速い訳ではないので、ペン書きよりもしんどかったです。

 

監視はZOOMで行われました。

 

 

ーーー

8月号の内容は以上になります。

 

受験新報が休刊になり、本家ロースクールだよりも打ち切りとなりました。

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ロー不人気という逆境に負けず、毎月ロースクールの情報を発信し続けてきた受験新報編集部の方々に、心から敬意を表します。

 

このブログは、一応修了する3月まで更新を続ける予定です。どうぞよろしくお願い致します。